G.T.
先日の年間第19主日のミサの第二朗読で、ヘブライ人への手紙11章(ヘブライ11章)のアブラハムの信仰についての箇所が読まれました。
中学生の時、初めてヘブライ11章を読んだ時のことを今でも覚えています。自ら聖書を手に取って読み始めた頃でした。旧約聖書は難しそうだったから、新約聖書から読み始めました。
しばらくの間を経て、ヘブライ11章まで読み終えた時、その章に挙げられた「信仰のヒーローたち」が深い印象に残り、彼らのことをもっと知るため、旧約聖書も読み始めました。振り返ってみれば、ヘブライ11章が、自分が旧約聖書を読み始めたきっかけだったと言っていいと思います。
ヘブライ11章では、神様の救いの歴史において、信仰によって重要な役割を果たし賞賛された旧約聖書の諸人物が、いわゆる「信仰の殿堂」のように次々と挙げられています。旧約聖書を読み進めるうちに、彼ら「信仰のヒーローたち」のことを通じて、神の救いの歴史や神への信仰のあり方を少しずつ学んでいくことができました。
ヘブライ11章の著者は「信仰によって」という冒頭フレーズを用い、各人物を取り上げられています。そして、教皇ベネディクト十六世自発教令『ポルタ・フィデイ(信仰の門)―「信仰年」開催の告示(2011年10月11日)』の中(13節)でも、同じ冒頭フレーズが使用され、聖母マリアを始め、新約聖書以来の信仰の証人たちが取り上げられています。
この2つの書簡に挙げられている信仰の模範たちを展開してみると、次のようになります。
[ヘブライ11章]
聖書の中で最初の義人であり殉教者であるアベル、
神とともに歩んだエノク、義の賜物を受けたノア、
神の選ばれた民の父と母になったアブラハムとサラ、
息子たちのヤコブとエサウの将来を祝福したイサク、
イスラエルの十二部族の父となったヤコブ、
兄弟たちをゆるしイスラエルの民を飢えから救った、夢解きの義人ヨセフ、
イスラエルの民に神の律法を与えたモーセ、
リーダーであり忠実なしもべのヨシュア、
危険を顧みずイスラエルの斥候を守ったラハブ、
わずか300名で数万人の軍勢を破ったギデオン、
従順な戦士のバラク、怪力を持つ士師のサムソン、戦士で士師のエフタ、
預言者で士師のサムエル、神のみ心に適う者のダビデ、
その他、匿名で挙げられている(33~38節)のですが、著者の説明によって旧約聖書からほぼ正確に推測することができます。
ダニエル、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴ、ヒゼキヤ、エリヤ、エリシャ、エレミヤ、ゼカリヤ、イザヤ。
神のみ心を生き、神の御独り子を産み、主とともに歩んだ聖母マリア、
全てを捨て、主イエスとの交わりの生活を生き、全ての人に福音をのべ伝えた使徒たち、
最初の共同体を作った弟子たち、
命をささげ、福音の真理を証しした殉教者たち、
従順、清貧、貞潔に基づく生活を送り、自分の生活をキリストに奉献した人たち、
正義のための業を行い、主のみことばを実践した数知れないキリスト信者、
家庭、職場、公共生活の中で、自分の職務の行使を通じて、主イエスに従うことのすばらしさを告白してきた人たち、
そして、主イエスが自分の生活と歴史の中にともにおられることを生き生きと認めながら、信仰によって生きている私たち。
このように、私たちはイエス・キリストのうちに信仰によって、神の救いの歴史の中の「信仰のヒーローたち」と繋がっているのだと思います。なんと神秘的、すばらしいことだと思いませんか。